要望趣旨
我が国の少子高齢化と人口減少の進行は、厳しい状況にあり、国や社会の存立基盤に大きな影響を与える重要な課題です。
このような中、平成27年4月に子ども・子育て支援新制度が施行され、新たな保育の受け皿確保などが充実された一方で、島根県をはじめとする人口減少地域での保育の維持・確保は大きな課題です。
また、国を挙げて進められている「働き方改革」を実現するためにも、現場を担う保育士等の確保や保育の質の向上についても早急な対応が必要です。
すべての子どもたちが健やかに成長していくために、また子どもの育ちと子育てを社会全体で支援できるよう、保育現場での処遇改善、人材確保、それぞれの地域の特性を踏まえた保育施策の更なる充実を図っていただきますようお願いいたします。
国に対する要望
- 1. 幼児教育・保育の副食費を含めた無償化について
- 10月からの幼児教育・保育の無償化に伴い、副食費については、施設において保護者から実費徴収することとなりました。
子どもの育ちにおける給食の役割は非常に大きく、これまで以上に国が責任をもって食育の推進に取り組んでいただきたいと考えます。また、副食費徴収を各施設で行う事は事務負担増が懸念されます。
食育は、保育の重要な一端を担うものという考えに基づき、食育環境の充実、子育て家庭のより一層の負担軽減、施設における事務負担の軽減のためにも副食費を含めた無償化を要望します。
- 2.公定価格の積み上げ方式の堅持について
- 子ども・子育て支援制度施行後5年の見直しの中で、公定価格の適正化に向けた議論があります。この中で、公定価格の算定についても、包括方式への移行が検討されていますが、保育の質を確保する観点から、積み上げ方式を堅持することを求めます。
また、公定価格等の見直しを行う場合には、関係団体の意見を十分に反映していただくことを要望します。
- 3.保育の質の向上と、保育士業務負担の軽減を目的とした配置基準の改善について
- 現在の保育士配置基準においては、保育の質、また保育士の業務負担両面において課題が多く、長年改善をお願いしてまいりました。
保育士配置基準を改善することにより、保育の質の向上が図られ、保育士の業務負担の軽減、離職防止にも繋がると考えられます。是非とも保育士配置基準の改善を要望します。
- 4.退職手当共済制度の公費助成の恒久的な補助金について
- 退職手当共済制度の公費助成に関して、保育士等処遇改善の観点から引き続き実施されることとなったことは、現場の保育士の状況を理解していただけたものと感謝申し上げます。
しかし、令和2年度までの見直しの検討となっており、これまで職員の処遇改善を進めてきたものを、また振り出しにもどるような負担増を行うことにならないよう、一層のご理解をいただき、恒久的な補助金にしてください。
県に対する要望
- 1.小規模保育所(園)の経営安定化の補助について
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島根県では利用人数平均16人以下の小規模保育所も多く、離島・中山間の人口減少地域においては、収入が安定せず職員の確保に合わせ運営が非常に困難な状況にあります。
それぞれの地域において安定的に子育てが出来る環境を維持するためにも、更なる補助制度の充実をしてください。
- 2.事務職員及び調理員の最低基準以上の配置について
- 年々複雑化していく事務手続きに対応していくためにも、事務職員は法人並びに施設の業務効率化と質の向上に繋がる必要な職種と考えます。
また、食育やアレルギー児童に丁寧に対応するために、調理員を配置基準以上に採用している現状です。
事務職員及び配置基準以上採用している調理員に対して、配置加算としていただくよう要望します。